「北前船主の館 右近家」スパイスを北に南に繋いだ商船とその暮らし

Journey

福井県の「北前船主の館 右近家」を訪れたお話。

[訪問日:2023年3月]

北前船は、江戸中期から明治後期にかけて北海道(蝦夷地)と大阪を日本海廻りで結び、各港で売買しながら不定期運航していた商船。

この北前船は、スパイスにも欠かせない存在!
北海道の昆布-富山の薬売り-薩摩藩-中国の薬種(スパイス)

ひっそりと着実にスパイスが繋がっていたルートです。 福井県の南越前には日本海五大船主の1つ「右近家」の邸宅があり、現在は北前船の資料館になっているので行ってきました。

凄まじい繁栄を感じて胸熱!

北前船で繁栄した船の主、右近さんの邸宅を見学できる「北前船主(きたまえせんしゅ)の館 右近家」。全盛期は20隻余りの北前船を所有し、大阪・敦賀・小樽を拠点に活躍しました。

船主の邸宅に入ると、その豪勢さに圧倒!
北前船の精巧な模型、仰ぎ見るほど大きな幟(のぼり)、高~い天井の梁は囲炉裏の煤煙で黒ずみ、芯を感じる調度品などなど…ここで暮らしていた人々の息づかいを感じるほど。邸宅内部は写真撮影NG。間取りは、こんな感じ(右近家パンフレット)。

ちなみに、右近家は北前船で繁栄を極めただけでなく、近代化と共に海上保険業に進出し、日本海上保険株式会社(現:損害保険ジャパン株式会社)を設立したことでも知られています(保険…それほど北前船の航海は過酷だったのですね)。

アイヌ民族の服(アットゥシ)も飾られ、北海道の昆布だけでなく文化も届いていたことが分かります。

西洋館は撮影OK。内装も景色も美しい!

邸宅を抜けた先には庭園があり、そこから西洋館へと登っていきます。

右近家本宅の背後の高台に建てられた「旧右近家住宅 西洋館」は、国登録有形文化財(建物)で、1階はスパニッシュ、2階はシャレー(山小屋)風の外観が特徴。

玄関を入ると、鉄格子やタイルの装飾が美しい…!

スリッパの並ぶ場所は木の一枚板かと思ったら、大理石…!

ダイニングルームに設えられたアンティーク家具も素敵。こんなに素敵なのに右近さんは夏の2週間ほどしか過ごさなかったそう。なんと贅沢!

2階への階段も惚れ惚れしちゃう。

船のステンドグラスは、さすが北前船の主!

2階には海の見えるお座敷も。

バルコニーにから見える日本海。

この日は天気が良くて、波も穏やかで青が際立っていました。
千両船や弁財船と称されるほど稼げるとはいえ、海に出る勇気が凄い。

福井駅から「北前船主の館 右近家」へのアクセス

公共交通機関と時間の兼ね合いが上手くいかず…行きは電車&タクシー、帰りはバスと電車で訪問しました。

行きの電車は、「福井」駅からJR北陸本線「武生(たけふ)」駅へ。「武生」駅のロータリーからタクシーに乗り、約25分(6,000円程)で到着。

帰りは福鉄バス「河野」駅から「武生」駅まで乗車。JR「武生」駅のロータリーから、徒歩5分ほど離れた場所にある福井鉄道福武線「たけふ新」駅から電車に乗って「福井城址大名町」駅で降車、市内に戻ってきました。

「武生」駅からのバスが、土日は1日2本の昼と夜しかなく、本当にアクセスが悩ましかった…。

明治時代は西洋文化の影響で、漢方医学が衰退する時期。漢方の原料としても活用されるスパイスも、存在価値が変わっていきます。
「北前船主の館 右近家」はそんな過渡期を思いつつ、当時の熱気とスパイスの周辺を感じる場所でした。

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