【旅の宿:富山】1日1組限定「売薬宿屋山キ」は泊まれる資料館。売薬一家の暮らしを追体験

Journey

富山の薬売り文化を感じる「売薬宿屋山キ」に宿泊したお話。

[訪問日:2023年6月]
富山県・岩瀬にある「売薬宿屋山キ(やまき)」は、1日1組限定の完全貸切宿。越中富山の薬売り・置き薬・北前船など、歴史の授業でなんとなく聞き覚えのある富山のこと。その歴史が息づく薬売り・成田家の古民家には、古い薬箱や家具やエピソードが残されていて、往時を追体験できる、まさに泊まれる資料館!

売薬文化と歴史が香る港町・岩瀬の古民家に泊まる

「売薬宿屋山キ」があるのは、江戸時代から明治時代まで、北前船の中継地として栄えた港町・岩瀬のメインストリート。3軒連なったうなぎの寝床(間口が狭く、奧へ奧へと続く細長い家)の1軒が、お宿です。

富山では江戸時代から製薬が盛んで「置き薬(配置薬)」という売り方が誕生。各家庭に薬箱を常備し、定期的に薬売りが訪問して、使った分だけ支払うシステム。

成田家はお客さんの大半が北海道にいたため、売薬さんである主がこの家で過ごすのは1年のうち2カ月程だったそう。ちなみに成田家は岩瀬で唯一、北前船を所有していたそう(すごい繁栄)!そして「山キ」というのは、成田家の屋号です。

セルフチェックイン&アウトで非接触型

私は宿泊したプランは、1泊朝食付きで大人1人1万2000円。入金後に教えてもらったチェックイン方法で、お部屋に入ると…祖父母の家に遊びにきた感覚に!!祖父母の家とは全然雰囲気違うのですが…懐かしさを覚えました。

玄関には、成田家の家紋入りの提灯が飾られています。

その先には大きな居間(「おい」と呼ぶそう)があり、書斎、キッチン、寝室3つ、展示スペース、バス・トイレと奥へ奥へと続きます。

間取りはこんな感じ(公式ホームページから拝借)。

私が最も心惹かれたのが、薬箪笥(百味箪笥ともいう)。

生薬を保管する薬種商ならではの家具なのですが、照明としてリメイクされただけでなく…

「猫がマタタビを取り出すのが面白く、わざわざ入れていた」というエピソードと共に、猫の引っ掻き傷もそのままに。猫好き納得の愛しい思い出に、きゅんとしました。

夕食は持ち込んでも、飲食店で食べるのもOK

夕飯がつかないプランなので、今回は富山駅前で食材を購入し、持ち込みました(スーパーマーケット「アルビス」エスタ店、「MAROOT」1階食品売り場で購入)。備え付けの食器に並べて簡単に。旅行中に外食疲れした時、家みたいにのんびりできるって心地よい~。炊飯器やレンジもあるので、自炊も可能です。

朝食は富山の人気店「とべーぐる」監修のベーグルプレート。冷蔵庫にセットされているものを、温めて食べました。この日のベーグルは、プレーンとサツマイモ。
近隣には、おしゃれな飲食店が2019年頃から続々とオープンしています(利用の際は事前予約がおすすめ)。コンビニも徒歩圏内に1軒あります。

6月上旬に宿泊したのですが、朝晩は暖房をいれたほど、ちょっとひんやり。日中は観光地で賑わう岩瀬も、深夜と早朝はとても静かで穏やか。

「売薬宿屋山キ」へのアクセス

「富山」駅から路面電車・富山地鉄富山港線(ライトレール)で約20分。最寄り駅は、終点「岩瀬浜」駅、「競輪場前」駅、「東岩瀬」駅の3つ。どこからも10~15分という距離。メインストリート観光もしたい人は「東岩瀬」駅がおすすめ(3つの駅の中では一番遠いけれど)。

スパイスが生薬として独自に進化した富山。薬売りの行商により日本各地へ、北前船で北海道まで商いを拡大(中には香港・台湾に行く人も)。その一端を築いた成田家。
「売薬宿屋山キ」は、薬売りだった成田家の記憶が残るだけでなく、当時の暮らしと共にあるスパイス文化に触れることができます。

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