箱根「富士屋ホテル」の名物カレー。西洋化する日本の過渡期も味わう

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賛否両論?「富士屋ホテル」の名物カレーを食べたお話。

[訪問日:2024年5月]

神奈川県・箱根にある「富士屋ホテル」は、1878(明治11)年に日本初の本格的リゾートホテルとして開業。日本の西洋化・近代化が進む渦中で、「富士屋ホテル」は外国人客専用のホテル時代や第二次世界大戦後の進駐軍による接収時代などを経て、外国人客をもてなすためにさまざまなスタイルが築かれていきました。

料理もそのひとつ。フランス料理を礎に世界各地の知識と技術を取り入れ、日本風のアレンジを加えた“富士屋ホテルキュイジーヌ”が誕生! 名物のカレーも1915(大正4)年から受け継がれてきた1品。実は、食べたことのある知人の感想やSNSなどのレビューをみると、賛否両論あるのが個人的に気なっていて…。実際に食べてみたのでレポします。

カレーを“フォーク”で食べるのが伝統

カレーが食べられるのは、宿泊者以外も利用できる「レストラン・カスケード」(平日でもランチタイムは混むので、時間に余裕をもっていくか、予約しておくといいかも)。

今回は「海の幸取合せカレー(5,000円)」をオーダー。
あまりに暑い日だったので、夏に食べたくなるシーフードを選びました。不動の人気「ビーフカレー」は…また今度!

カレーの薬味が6種類あるのも「富士屋ホテル」の特徴。定番の福神漬けやラッキョウのほか、マンゴーチャツネ、ゆで卵、ココナツチップ、フライドオニオンも。箱根の名産・寄木細工の器で提供されるのも素敵!

「海の幸取合せカレー」が運ばれてくると…ホテル仕様の佇まいにテンションと食欲がアップ! ちなみに「富士屋ホテル」ではカレーをフォークでいただくのがこだわり。米も野菜の一種というのが、フォークで食べる理由なのだとか(参照:「富士屋ホテル 伝統のレシピ」河出書房新社)。もちろん、お願いすればスプーンをもらえます。

具材は、大きめのエビやホタテにアワビ入り。カレーソースは魚介の旨みと甘みが凝縮していてまろやか、後からスパイスの香りと辛さがじんわり。サフランライスの華やかな香りと相まってとても上品な味でした。

背筋を伸ばして食べたい、カレーの付加価値

カレーとしては強気の価格設定ですが、丁寧に仕込まれたコンソメを使っていたり、カレーソースを数日寝かせていたり、その手間暇に納得のお値段。また、スパイスの使い方やカレーライスの知識が未熟だった当時の日本で、料理人たちが“美味しさ”を探究した付加価値も込みで!

そして、気になっていた賛否両論について。

個人的な見解ですが、カレーソースにほどよく粘度があり、スパイスのどれかが際立ち過ぎずに調和し、昔懐かしいカレーっぽさゆえに賛否あるのかな?と思いました(昨今のカレーはサラッとして、1つのスパイスが際立つシャープな味が増えた印象)。私は、歴史を感じるこういうタイプのカレーも大好き!

西洋化・近代化する時代に思いを馳せながら、歴史ある空間でちょっと背筋を伸ばしていただくカレー。「富士屋ホテル」のカレーを通して、そんな体験ができました。ビーフカレーやチキンカレー、蟹カレーなど、全種類のカレーを制覇しに再訪したい~(お財布と相談)。

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