福井県に戦国時代から伝わる薬味酒「蘭麝酒(らんじゃしゅ)」のお話
青木蘭麝堂の「蘭麝酒(らんじゃしゅ)」は、福井県の一乗谷に伝わる薬味酒。一乗谷は15~16世紀に戦国武将・朝倉家が本拠を構え、越前国・北陸一帯を5代100年間にわたり栄えたエリア。その朝倉家の健康維持と氏族繁栄を願い造られたのが「蘭麝酒」です。
みりんのような甘いお酒に、シナモン、クローブ、ジンジャーなど数十種類のスパイスを3年程漬け込み、ゆっくりじっくり熟成させ、香味をうつした薫り高さも特徴。健康酒であり贅沢な嗜好品!
琥珀色のとろみのある「蘭麝酒」は
ふくよかで艶っぽく立ちのぼる香気
口にふくむとふわ~っと香りが広がり
甘さの中からじんわり香味が現れて
無数のスパイスを感じる、感じる!
1本3,300円(720ml/2023年5月時点)なのですが、あまりにもスパイスの香味を感じたので「どれだけの量のスパイスが使われ、当時のスパイスを価値換算したら、おいくら!?」とクラついてしまうほど、いい香り♡
アルコール分16度なので、お酒の飲めない私はホロ酔い。
戦国時代は、スパイスの価値高騰時代
ちなみに、日本の戦国時代とヨーロッパの大航海時代は、同じ時代。スペインやポルトガルを中心に、ヨーロッパがアジアへ勢力拡大しつつ、スパイス獲得も大義名分だったころ。「蘭麝酒」に使われるシナモン、クローブ、ジンジャーも、もれなく世界市場での価格は高騰。そう思うと、「蘭麝酒」は値段でははかれない価値、繁栄の象徴みたいなお酒。
「蘭麝酒」は、朝倉氏の元に集まった知識人の中のひとり、中国で医学を学んだ僧医・谷野一栢(たにのいっぱく)による中国の滋養酒がルーツとされています。
朝倉家の滅亡後も、青木蘭麝堂では一子相伝で、当時と変わらないレシピと味を継承しています。一子相伝が守られ、シナモン(桂皮)、クローブ(丁子)、ジンジャー(生姜)以外、何のスパイスが用いられているか家族でも知らないそう。
それ以上に驚いたのは、今もすべて自家製ということ! お酒の原料となる越前東郷米の栽培から精米、醸造、熟成…そのすべてを自家で行っています。自分たちの目の届く範囲で、造れる本数を造れるだけ、味を守るその姿勢も素敵。
400年余りの時を超え、各時代を生きる人々が飲んだ味を変わらず楽しめるなんて、浪漫が凄い!!
コメント